映画界で懸念される 3D離れに待ったをかけた、公開後3週間経った今も話題沸騰中の『 Gravity(邦題:ゼロ・グラビティ)』を IMAX
3Dで観て来た。
映画を観るのに $20。日本ではこの程度の金額は至って普通だが、アメリカでは映画は日常的に観る文化があり、もっと身近なものなので、いくら IMAX
3Dであろうと、アメリカ人にとって映画にこの金額を払うというのは、結構な贅沢。
それでも、この映画は映画館で観る甲斐がある。この映画は自宅で DVDや Netflixで観る映画ではない。
物理的な遠さはあれども、心理的にどんどん距離が近くなってきている感じのする“宇宙”の存在。最近では、宇宙飛行士でない人でも宇宙への旅を計画してりしているくらいだ。
それでも、私たちにとってまだまだ未知の世界であることには間違いない。
美しい場所なのだろう。一方で、何が起こるか分からない、自分では制御不可能な恐ろしい場所という認識もある。
本作品はそのイメージを映像にし、具体的に味わうことのできる SFスリラー/パニック映画だ。
Alfonso Cuarón(アルフォンソ・キュアロン)氏が監督、脚本、プロデューサー全てを務める。ハリーポッターシリーズの監督を務めたことがあることは知っていたものの、彼が手がけた作品を観たのは、今回の『 Gravity(邦題:ゼロ・グラビティ)』が初めて。
監督は、「未来を舞台にした空想上の映画にする気はなく、映像的にはドキュメンタリーのようにしたかった」と語り、本物の宇宙飛行士2人も、この映画は事実に正確だと語っている。
とにかくこの映画は色々な意味で斬新であり、新鮮であった。
物語はいたってシンプル。だいたい宇宙映画は同じようなあらすじが基本だ。宇宙に行って、予想外のアクシデントに見舞われ、必死に地球へ生還しようとする。この作品も一緒だが、どこか新しいのだ。こんな映画観たことがないと思える初めての感じの映画だ。
『 Armageddon(邦題:アルマゲドン)』や『 Deep
Impact(邦題:ディープインパクト)』は“動”なら、この映画は“静”である。
他には、宇宙映画ならでは、視覚を満足させる映像美。音と静寂の使い分け。
闇はもちろん怖い。でも、静寂と美しさと壮大さがこんなに怖く感じるとは。。。それでも、地球だけは宇宙の闇の中で青く美しく輝いている。
そして、カメラワーク。観客の視点が宇宙飛行士達のヘルメットの中からの視点になったり、遠いもの、近いものがぐるぐると入れ替わったり。一瞬ごとに観る角度が変わる感覚は、まさに体験型だった。
映画の始まり方からして独特だ。暗闇が見え、何かが遠くで動いているのが見える。そしたらカントリーミュージックがかすかに聞こえてきて、見ているものと聞いているもののギャップに頭に「?」が浮かぶ。
カメラがどんどん遠くで動いているものにフォーカスをしていき、巨大望遠鏡の周りで作業をしている宇宙飛行士3人が登場する。 Sandra
Bullock(サンドラ・ブロック)演じる、今回が宇宙での初任務である Dr. Ryan Stone(ライアン・ストーン博士)がもくもくと作業をしている。その周りを George
Clooney(ジョージ・クルーニー)演じる、今回最終任務のベテラン飛行士、 Matt Kowalski(マット・コワルスキー)、そしてもう一人の飛行士であるが楽しげに冗談話をしながら宇宙を遊泳しているのが確認できる。
そんな中、ヒューストン(声はもちろん Ed Harris/エド・ハリス)から連絡が入り、ロシアのミサイルが人工衛星を破壊し、飛び散った破片等がチェーンリアクションを起こしているため、すぐに作業を中止して米 NASAスペースシャトル・エクスプローラーに戻るようにと指令を受ける。
しかし、作業を中止しようとした時には既に手遅れだった。
巨大な破片が飛行士達を襲い、衝撃から、ライアンは宇宙の闇に身一つで放り出されてしまう。ヒューストンやシャトル、他の飛行士たちとの連絡も途絶える。
ライアンは重力ゼロの空間でぐるぐる回るドリフト現象が起き、更に酸素タンクが急激に減っていき、息が苦しくなってくる。
宇宙にたった一人で孤立してしまったライアンの運命はいかに。。
実はこの映画、主役2名、ライアン役のサンドラ・ブロックとマット役のジョージ・クルーニー以外の登場はほとんどない。むしろ、ジョージ・クルーニーも映画の三分の一しか登場しない。ほとんどがサンドラ・ブロックにフォーカスをしている。息づかい、一つ一つの表情や仕草、とにかく素晴らしい演技だった。マット役はジョージ・クルーニーでなくても良かったのでは、という意見もあるようだが、クサくならずにあのユーモアと哀愁を出せるのはジョージ・クルーニーしかいないだろう。
見終わると、たったの 1時間半とは思えないほどの充実感、そして疲労感。
観ているこちらまで力が入り、動悸が早くなり、息苦しくなる。
登場人物が浮遊物体などによりダメージを受けるときは、こちらまで何かにぶつかったような気分になる。
是非この映画を一人でも多くの方に体験していただきたい。
日本での公開は 12月 13日!
是非 IMAX
3Dで!
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