『Ex Machina(邦題:エクス・マキナ)』は美しい人工知能を描いたイギリスのSFスリラーである。
監督はAlex Garland(アレックス・ガーランド)。彼は、2010年のイギリス映画『Never Let Me Go(邦題:わたしを離さないで)』では脚本とエグゼクティブプロデューサーを務めた人物である。
キャストはOscar Isaac(オスカー・アイゼック)を除いては、あまり知名度の高くないキャスティングではあったが、近未来的な題材と、最初から最後まで観る者の好奇心をそそり、目が離せない展開でイギリス、アメリカでも大ヒットとなった。
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物語は、グーグル社を連想されるサーチエンジンを主幹とした巨大IT企業に勤務するキャレブ・スミスという一人の優秀なプログラマーがプログラミングテストを経て、この会社のCEOであるネイサン・ベイトマンが隠居生活をしている山荘で一週間を過ごす権利を勝ち取るところから始まる。
キャレブは山荘に着いた瞬間から、この謎に満ちた山荘に興奮すると同時に違和感を覚える。
キャレブはCEOのネイサンから、必ずや歴史上に残る、とある実験に参加して欲しいと言われるが、その内容については、機密保持契約を結ぶまでは教えられないと言われる。
この山荘の中で知り得たこと、見たこと、聞いたことの全ては決して口外してはならないのだ。
キャレブは、予想だにできないその実験に、少なからずの不安を感じつつも、歴史的な発明に関われるようなチャンスは二度と訪れないと考え、機密保持契約にサインをする。
この一週間を過ごす権利は、CEOが独自に推進する人工知能の新プランドの実験だったのである。
そのAI(人口知能)とは、女性型のロボット「AVA」であり、人間と同等に洗練された感情的知性を持ち、美しく魅惑的であった。
AVAが本当に人間と全く同じような感情を持ち、知能を持つのか。
それを探ろうとするキャレブ、そしてAIを操り、完全に支配するネイサンは、果たしてどのような結論を導くのか。
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キャレブ役はアイルランド出身のDomhnall Gleeson(ドーナル・グリーソン)、CEOネイサン役はグアテマラ出身の俳優Oscar Isaac(オスカー・アイゼック)、そして息を呑むほど美しい“AVA”役は26歳のスェーデン人女優Alicia Vikander(アリシア・ヴィキャンデル)。彼女はMichael Fassbenderのガールフレンドである。
また、Kyokoという山荘にいる不思議な女性を努める、イギリス系日本人のモデル兼ダンサーであるSonaya Mizunoもインパクト大である。
『Her(邦題:her/世界でひとつの彼女)』同様に、テクノロジーの未来が、そう未来でもないことを感じさせる作品だ。近未来系の映画であるものの、人口知能はもう既に世の中に溢れている。
だからこそ、こういった映画が人を魅了するのだろう。
みんな、どこまでテクノロジーが進化するのか、“今”の少しその先を見たいと思うのだろう。
エンディングはもうちょっと何とかできた感じは否めないが、そこまでの物語の持っていき方、築き上げ方は素晴らしかった。
現時点での日本公開は未定であるが、公開が決まった暁には、是非ぜひ映画館に足を運んで観ていただきたい作品だ。