ずっと気になっていた『Her(邦題:her/世界でひとつの彼女)』をようやく観て来た。脚本、プロデュース、監督は全てSpike
Jonze(スパイク・ジョーンズ)による。
ストーリーは、とある一人の中年男性がOS(オペレーティングシステム)と恋に落ちるという話。まぁたとえて言うならば、進化したSiriと恋に落ちるみたいな話だ。
これだけを聞くと、なんて馬鹿げた映画なのだろう?と思う人も多いかもしれないが、とても素晴らしい映画だ。
世界観も素晴らしいし、ストーリーの流れもテンポも良いし、最後までオチが見えず、終わりが予測できない。そしてなにより、現代社会の象徴、私たち一人ひとりが抱えている孤独や淋しさや、なんだか分からない物足りなさ、テクノロジーへの依存や関わり方など、そういったものに焦点を当てていて、問題定義をしているような映画に思える。到底、スパイク・ジョーンズ監督の脚本家としてのデビュー作とは思えないほどの傑作だ。
それに加え、主人公Theodore Twombly/セオドア・トゥオンブリー役の俳優Joaquin
Phoenix/ホアキン・フェニックスの演技が素晴らしいのなんの!イケてない、でも憎めなくてお茶目な男性の役を見事なまに演じている。彼は2012年の『The Master(邦題:ザ・マスター)』を含め、2度アカデミー賞主演男優賞にノミネートされている実力派俳優だ。
そしてOS、サマンサの声を担当したScarlett
Johansson/スカーレット・ヨハンソンの声だけによる演技も見事だった。声だけであれほどの演技をできるのは、単純にすごい。それにあのハスキーな声は本当にたまらない。本作へ声だけの出演であるものの、彼女の演技は映画評論家や観客からも大絶賛されており、アカデミー賞へのノミネートが期待されていたが、残念ながらノミネートはされなかった。
主人公セオドア・トゥオンブリーの離婚した妻として登場するのが、『The
Girl with the Dragon Tattoo(邦題:ドラゴン・タトゥーの女 )』などでお馴染みのRooney
Mara/ルーニー・マーラ。当初は、『The Great Gatsby(邦題:華麗なるギャツビー)』などのCarey
Mulligan/キャリー・マリガンがキャスティングされていたがスケジュールの都合により降板し、ルーニー・マーラが引き継いだ。
その他、『RUSH(邦題:ラッシュ プライドと友情)』などにも出演している、いま旬な女優Olivia
Wilde/オリヴィア・ワイルドも出演時間10分くらいのブラインドデート役として出演している。
本映画は、本来2013年11月20日に公開される予定であったが、賞レースに積極的に入り込むため、限定公開日が2013年12月18日、拡大公開日が2014年1月10日に変更されることとなった。
甲斐あって、The Golden Globe Awards 2014
(第71回ゴールデン・グローブ賞)では、脚本賞を受賞、Oscar 2014(第86回アカデミー賞)の栄えある作品賞、その他にも4部門にノミネートをされた。
観て絶対に損はしない作品、とてもおススメの映画なので、6月24日に日本で公開になったら是非観ていただきたい。
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