Tuesday, November 4, 2014

Nightcrawler(邦題: 未定、日本公開日:未定)


本作『Nightcrawler(邦題・日本公開日:未定)』は、ハロウィンである1031日に全米で公開された。



脚本と監督はDan Gilroy(ダン・ギルロイ)、プロデューサーの一人には兄のTony Gilroy(トニー・ギルロイ)、フィルム編集は『Pacific Rim(邦題:パシフィック・リム)』なども手掛け、ダンの双子の弟であるJohn Gilroy(ジョン・ギルロイ)がつとめており、ギルロイ3兄弟が関わっていることでも話題を呼んだ。



この3兄弟の父親であるFrank D. Gilroy(フランク D. ギルロイ)はピューリツァー賞受賞経験のある脚本家である。

これまで脚本家として活躍してきたダンだが、この作品によって監督デビューを果たした。



主演は、David Fincher監督の『Zodiac(邦題:ソディアック)』で一躍有名俳優となり、直近では『Prisoners(邦題:プリズナーズ)』に出演したJake Gyllenhaal(ジェイク・ギレンホール)。



その他には監督・脚本を手掛けたDan Gilroy(ダン・ギルロイ)の妻であり、『Thor(邦題:マイティ・ソー)』シリーズにも出演している女優のRene Russo(レネ・ルッソ)、そして米国でまだその名を知られていないパキスタン系イギリス人俳優のRiz Ahmed(リズ・アへメド)などが出演している。



ナイトクローラーとは、英語でも名詞としては実際に存在しない言葉だが、大きなミミズのことをナイト クローラーと言う場合もあれば、ニュアンス的には、夜の街を徘徊する者、這い回る者という意味を持たせてつけたタイトルなのだろう。

そのタイトルの通り、Jake Gyllenhaal(ジェイク・ギレンホール)演じる主人公のLou(ルー)は夜のロサンゼルスの街をハイエナのように這い回るのである。



ネタバレしない程度にストーリーを少し紹介したい。

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ルーは工事現場から物を盗むことで生計を立てている謎の男である。

ある夜、高速を走っている時に車の単独事故を目撃する。車を止め、ルーは交通事故現場を見に行く。すると、そこに駆けつけたフリーランスのカメラクルーが現場に近づき、燃え上がっているところから女性が救出される姿を必死に映している様子に遭遇する。

ルーはカメラマン達の行動に興味を持ち、誰の為に働いているのかを聞く。

カメラマンは、自分達は誰に雇われている訳ではなく、一番高く買ってくれる報道(テレビ)局に売っているのだと説明する。

魅了されたルーは、早速簡易のビデオカメラとラジオを手に入れ、真似事を始める。ラジオで警察の無線を盗聴しては、事件を嗅ぎ付け、現場に向かう。

たまたま一度撮った現場で、誰よりも生々しいグロテスクな映像を撮ったルーは、地域のテレビ局のニュースディレクター、Rene Russo(レネ・ルッソ)演じるNina(ニーナ)に映像を見せに行く。これを気に入ったニーナはルーの撮った映像を購入する。

その際、ニーナは残忍で残酷な映像、血が多く流れる映像を視聴者は求めていると言い放つ。



味を占めたルーは、凶悪事件の現場を写すべく、一人奔走する。

しかし、現場に辿り着いた時には既にライバルに手柄を撮られてしまうことも多く、一人で撮ることに限界を感じ、アシスタントとしてお金に困っている若者のリックを雇う。



次第に恒常的にルーの撮影した映像が売れるようになり、機材も新調し、徐徐に警察よりひと足先に事件現場に辿り着き、テレビ局が欲しくてたまらないような映像を撮ることに度々成功するようになる。

更に上を目指し続けるルー。その為に彼がとった行動とは

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観ていくうちに、なんとなく展開は読めるものの、観客に終始衝撃を与えてくれる映画だ。

ストーリーも脚本もとてもよく出来ている上に、異常、そして執拗なまでにこの仕事に夢中になる主人公ルーを演じたジェイク・ギレンホールの演技が絶賛されている。ジェイクに気味の悪い、頭がイカレているような演技をさせたら右に出る物がいないくらい、その演技力は彼の代表作ゾディアックで証明されているが、本作でも見事なまでに気持ち悪さで観客を笑わせ、ゾクッとさせてくれている。

この映画はまた、マスメディア・ジャーナリズムの倫理問題にも触れ、テレビ局とフリーのジャーナリストとの関係性をも描き、視聴率が全てというテレビ局の視聴率戦争を描いている。今の時代だからこそ作られた映画という印象だ。

日常のように交通事故、強盗、殺人が行われ、裕福な人々の層から恵まれない人々の層まであらゆる人が生活をしているロサンゼルスならではの映画ともいえる。



一つ前の記事で紹介した『Gone Girl(邦題:ゴーン・ガール)』と同じように、後味の悪い、少しだけ不愉快、でも面白いと唸らされる映画である。


邦題や日本での公開は現時点でまだ未定だが、公開されたら是非映画館で見ていただきたい。


これは余談だが、ハリウッドでも日本でも、これまで主人公はヒーローであることが多かったが、ここ最近は主人公が悪であるアンチヒーロー系の映画が増えて来ているように感じるのは私だけだろうか。今の時代、観客もそれを求めているのかもしれない。


English trailer


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