Tuesday, February 24, 2015

The Academy Awards 2015 (第87回アカデミー賞)


アメリカ時間の2月22日(日)、今年も映画の祭典、アカデミー賞がハリウッドで開催された。





いつも晴天のロサンゼルスだが、今年は雨の中のレッドカーペットとなった。

“今年は予想がしづらい”と毎年言っているような気もするが、今年は本当に予想がしづらかった。全てのノミネート作品が素晴らしかった一方、ダントツ飛び抜けているいう作品も特になかった印象だ。また、好みによっても大きく感想や評価が違う作品が揃っていることもある。



しかし、ふたを開けてみれば、『Birdman(邦題:バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡))』の大きな勝利となった。


『The Grand Budapest Hotel(邦題:グランド・ブダペスト・ホテル)』も4部門で受賞し、作品に相応する勝利を得たと言える。


ゴールデングローブ賞をはじめ、注目度の高かった Boyhood(邦題:6才のボクが、大人になるまで。)』は意外にも助演女優賞の1部門のみの受賞にとどまった。



以下、主要部門でのノミネート作品と受賞作品を一挙公開!


And the Oscar went to...


★Best Picture(作品賞)

American Sniper(邦題:アメリカン・スナイパー)
WINNER: 『Birdman(邦題:バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡))』
Boyhood(邦題:6才のボクが、大人になるまで。)
『The Grand Budapest Hotel(邦題:グランド・ブダペスト・ホテル)』
The Imitation Game(邦題:イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密)
『Selma(邦題:セルマ)』
The Theory of Everything(邦題:博士と彼女のセオリー)
『Whiplash(邦題:セッション)』



★Best Director(監督賞)

Wes Anderson(ウェス・アンダーソン), 『The Grand Budapest Hotel(邦題:グランド・ブダペスト・ホテル)』
WINNER: Alejandro González Iñárrituアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥー), 『Birdman(邦題:バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡))』
Richard Linklater(リチャード・リンクレイタ, 『Boyhood (邦題:6才のボクが、大人になるまで。)』 
Bennett Miller(ベネット・ミラー), 『Foxcatcher (邦題:フォックスキャッチャー)』
Morten Tyldum(モルテン・ティルデゥム), 『The Imitation Game(邦題:イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密)

★Best Actress (主演女優賞)

Marion Cotillard(マリオン・コティヤール), 『Two Days, One Night(邦題:サンドラの週末)』
Felicity Jones(フェリシティ・ジョーンズ)The Theory of Everything(邦題:博士と彼女のセオリー)』
WINNER: Julianne Moore(ジュリアン・ムーア)Still Alice(邦題:アリスのままで)』
Rosamund Pike(ロザムンド・パイク),  Gone Girl(邦題:ゴーン・ガール)』
Reese Witherspoon(リース・ウィザースプーン)Wild(邦題:未定)』


★Best Actor (主演男優賞)
Steve Carell(スティーヴ・カレル), 『Foxcatcher(邦題:フォックスキャッチャー)』
Bradly Cooper(ブラッドリー・クーパー),
American Sniper(邦題:アメリカン・スナイパー)
Bennedict Cumberbatch(ベネディクト・カンバ―バッチ), 『The Imitation Game(邦題:イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密)』
Michael Keaton(マイケル・キートン), 『Birdman(邦題:バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡))』
WINNER: Eddie Redmayne(エディ・レッドメイン), 『The Theory of Everything(邦題:博士と彼女のセオリー)』


★Best Supporting Actress (助演女優賞)
WINNER: Patricia Arquette(パトリシア・アークエット), 『Boyhood(邦題:6才のボクが、大人になるまで。)』

Laura Dern, 『Wild(邦題:未定)』
Keira Knightley(キーラ・ナイトレイ), 『TheImitation Game(邦題:イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密)』
Emma Stone(エマ・ストーン), 『Birdman(邦題:バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡))』
Meryl Streep(メリル・ストリープ), 『Into the Woods(邦題:インテゥ・ザ・ウッズ)』

★Best Supporting Actor (助演男優賞)
Robert Duvall(ロバート・デュヴァル)The Judge(邦題:ジャッジ 裁かれる判事)』
Edward Norton(エドワード・ノートン), Birdman(邦題:バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡))』
Mark Ruffalo(マーク・ラファロ),  Foxcatcher(邦題:フォックスキャッチャー)』
WINNER: J.K. SimmonsJ.K.シモンズ)Whiplash(邦題:セッション)』



★Best Adapted Screenplay (脚色賞)Paul Thomas Anderson(ポール・トーマス・アンダーソン), 『Inherent Vice(邦題:未定)』
Damien Chazelle(ダミエン・シャゼル), 『Whiplash(邦題:セッション)』
Jason Hall(ジェイソン・ホール), 
American Sniper(邦題:アメリカン・スナイパー)
Anthony McCarten(アンソニー・マッカ―テン), 『The Theory of Everything(邦題:博士と彼女のセオリー)』
WINNER: Graham Moore(グラハム・ムーア), 『TheImitation Game(邦題:イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密)』
★Best Original Screenplay(脚本賞)
Wes Anderson(ウェス・アンダーソン)『The Grand Budapest Hotel(邦題:グランド・ブダペスト・ホテル)』
Dan Futterman and E. Max Frye(ダン・フッターマン、E.マックス・フライ), 『Foxcatcher(邦題:フォックスキャッチャー)』
Dan Gilroy(ダン・ギルロイ), 『Nightcrawler(邦題:未定)』
WINNER: Alejandro Gonzalez Inarritu(アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥー), Nicholas Giacobone(ニコラス・ジャコボーン), Alexander Dinelaris(アレクサンダー・ディネラリス)and Armando Bo(アルマンド・ボー), 『Birdman(邦題:バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡))』
Richard Linklater(リチャード・リンクレイタ―), 『Boyhood(邦題:6才のボクが、大人になるまで。)』


★Best Film Editing(編集賞)
American Sniper(邦題:アメリカン・スナイパー)
『Boyhood(邦題:6才のボクが、大人になるまで。)』
『The Grand Budapest Hotel(邦題:グランド・ブダペスト・ホテル)』
『TheImitation Game(邦題:イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密)』
WINNER: 『Whiplash(邦題:セッション)』

★Best Cinematography(撮影賞)
Roger Deakins(ロジャー・ディーキンス), 『Unbroken(邦題:未定)』
WINNER: Emmanuel Lubezki(エマニュエル・ルベツキ), 『Birdman(邦題:バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡))』
Dick Pope(ディック・ポープ), 『Mr. Turner(邦題:ターナー、光に愛を求めて)』
Robert Yeoman(ロバート・D・イェーマン), 『The Grand Budapest Hotel(邦題:グランド・ブダペスト・ホテル)』
Lukasz Zal and Ryszard Lenczewski, 『Ida(邦題:未定)』
★Best Visual Effects(視覚効果賞)
『Captain America: The Winter Soldier (邦題:キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー)』
『Dawn of the Planet of the Apes(邦題:猿の惑星:新世紀)』
『Guardians of the Galaxy(邦題:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー)』
WINNER: 『Interstellar(邦題:インターステラー)』
『X-Men: Days of Future Past(邦題:X-MEN:フューチャー&パスト)』


Best Original Song(歌曲賞)Selma(邦題:セルマ)の主題歌で、Glory”という作品。作詞・作曲・歌は全てJohn Legend(ジョン・レジェンド)とCommon(コモン)による。

Best Original Score (作曲賞)は作曲者Alexandre Desplat(アレクサンドル・デスプラ)が 『The Grand Budapest Hotel(邦題:グランド・ブダペスト・ホテル)』 と The Imitation Game(邦題:イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密)』  の2作品でノミネートされ、前者で受賞を果たした。これまで5作品以上でノミネート歴のある、有名作曲家である。

Best Costume Design(衣装デザイン賞), Best Makeup and Hairstyling(メイクアップ&ヘアスタイリング賞), Best Production Design(美術賞)の3部門で見事全てに選ばれたのは『The Grand Budapest Hotel(邦題:グランド・ブダペスト・ホテル)


Best Documentary Feature(長編ドキュメンタリー映画賞)はエドワード・スノーデンのスパイスキャンダルをドキュメンタリー化した『Citizenfour(邦題:未定)』が受賞。

Best Animated Feature(長編アニメ映画賞)は日本でも大ヒットとなった 『Big Hero 6(邦題:ベイマックス)』 が受賞し、高畑 勲監督の『かぐや姫の物語(洋題:The Tale of The Princess Kaguya)』は受賞ならず。

**以上**


個人的には作品賞と監督賞以外は概ね、いや、とても納得だ。
主演男優賞と主演女優賞は特に誰が選ばれてもおかしくないほどの接戦だったと思うが、その中で、順当な受賞だったと言える。

The Theory of Everything(邦題:博士と彼女のセオリー)』で非常に難しい役で素晴らしい演技を披露したEddie Redmayne(エディ・レッドメイン)の受賞は本当に嬉しい。欲を言えば、共演したFelicity Jones(フェリシティ―・ジョーンズ)とのダブル受賞を見たかったが、アルツハイマー系の役どころを演じたJulianne Moore(ジュリアン・ムーア)の方が受賞可能性は元々高かったように思う。




助演女優賞と助演男優賞は、ほぼゴールデン・グローブ賞の時と同じ顔ぶれとなったが、受賞者はPatricia Arquette(パトリシア・アークエット)J.K. SimmonsJ.K.シモンズ)全く同じ結果となった。


受賞式における個人的なハイライトは


1.助演女優賞に選ばれたPatricia Arquette(パトリシア・アークエット)の力強いスピーチ

2.脚色賞に選ばれたGraham Moore(グラハム・ムーア)のスピーチ

3.ハリウッドでは比較的新星のEddie Redmayne(エディ・レッドメイン)の主演男優賞の受賞

4.『Interstellar(邦題:インターステラー)』 の視覚効果賞の受賞
5.『Birdman(邦題:バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡))』の撮影賞の受賞
6.往年のハリウッドスター、Julie AndrewsがパフォーマンスステージでLady Gaga(レディ・ガガ)に登場したシーン。素敵に歳をとっていたことに感動
7.『Birdman(邦題:バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡))』、作品賞と監督賞の主要2部門でのダブル受賞
8.『The Grand Budapest Hotel(邦題:グランド・ブダペスト・ホテル)』の4部門での受賞


アカデミー会員の選ぶ作品や俳優たちなど、バイアスがかっているとはいえ、やっぱり1年に1度のこのアカデミー賞受賞式はドキドキしながら、観てしまうものだ。

2014-2015年も素晴らしい作品が世に出たが、2016年もきっとたくさんの作品と出会えることだろう。



今年のアカデミー賞でノミネートされた作品は既にほとんど見たが、まだ観ていない作品では『Ida(邦題:未定)』が気になっている。ポーランドのフィルムであり、ポーランドの映画としては初めて撮影賞と外国語映画賞にノミネートされた作品である。受賞はならなかったが、是非観てみたい作品だ。





Sunday, February 1, 2015

American Sniper (邦題:アメリカン・スナイパー/日本公開予定2015年2月21日) 



本作『American Sniper (邦題:アメリカン・スナイパー)』は実話に基づいており、Chris Kyle(クリス・カイル)という米国軍人を題材にしている。



クリスは、U.S. Navy SEALs 在籍中に敵を255人(うち米国国防総省が正式に認定しているのは160人)殺害したことから、米国軍史上、最強の射手として知られている人物だ。その功績から、米軍内では“Legend(伝説)”というあだ名が付けられている。




脚本は、そんな彼の自伝『American Sniper:The Autobiography of the Most Lethal Sniper in U.S. Military History(原題:アメリカン・スナイパー:ネイビー・シールズ最強の狙撃手)』が元となっており、奥さんであるTaya Kyle(タヤ・カイル)も本映画のプロダクションの過程に深く関わったようだ。



※本映画について、そしてクリス・カイルについて、ウィキペディアなどで事前に調べずに是非観て欲しい。そのほうが映画を楽しんでいただけると思う。


Chris Kyle(クリス・カイル)を演じたのは、世界中で最もセクシーな男性に選ばれたこともある俳優のBradley Cooper (ブラッドリー・クーパー)。役柄にフィットするため、体重も増やし、テキサス訛りを身に付けて撮影入りをした。そしてクリスの妻、Taya Kyle(タヤ・カイル)は女優のSienna Miller (シエナ・ミラー)が演じた。




本作品は、色んな意味で非常に話題性のある作品だ。
理由を大きく5つ挙げると...

1. 監督兼プロデューサーは大御所Clint Eastwood(クリント・イーストウッド)。

2. 第87回アカデミー賞にも、作品賞、主演男優賞、脚本賞など6部門でノミネートされている。ちなみに、Bradley Cooper (ブラッドリー・クーパー)は昨年の『American Hustle (邦題: アメリカン・ハッスル)』、おととしの『Silver Linings Playbook (邦題: 世界に一つだけのプレイブック)』と、3年連続でオスカーにノミネートされているので、今年受賞できるかも注目だ。

3. アメリカでの1月16日の拡大公開からわずか2週間で劇場公開規模、興行収入に驚異的な数字となっている。

4. 本作品を巡っては批評家からの高い評価が得られているものの、アメリカ国内の保守派とリベラル派で大論争が繰り広げられている。同時にクリス・カイル本人についても、様々な論争が湧き起こっている。

5. 現在進行中の戦争を題材としており、米国への中東エリアへの武力介入、そして米国軍が中東エリアでどのようなことをしているか、についてリアルに取り上げている。




では、ストーリーを掻い摘んで紹介したい。

*****

テキサス生まれのカイルは、幼少期から父親にライフル銃を使っての狩猟を教わっていたが、その後はロデオ・カーウボーイとして生活をしていた。ある時、1998年ケニアとタンザニアでアメリカ大使館が爆破されたことをニュースで見て、アメリカ海軍入りを決める。その後、過酷で厳しい訓練を経て、U.S. Navy SEALs(アメリカ海軍の特殊部隊)に見事入隊を果たす。

カイルは、将来の妻となるタヤとバーで出会い、結婚をするが、国際テロ組織アルカイダによるアメリカ同時多発テロ事件の後、すぐにイラクへ派遣される。



彼はこの派遣の際に、初めて人を殺すこととなる。アメリカ軍を爆破して殺そうとした女性と子供の2人だ。

その後も、彼は使命に従い、スナイパーとして大活躍し、撃ち殺した人の数が多数にのぼることから、レジェンドというニックネームがつくまでとなった。



その一方で、良い人間でありたい気持ちも強く持っているカイルは、人を撃ち殺すとことに苦しみを感じ、葛藤する。また、それ以上に同士たちを助けられなかった無念さに辛さを感じる。





一度目の派遣を終え、妻の元に戻り、子供も生まれたことによって、葛藤は一層強くなる。アメリカに戻ってもなかなかイラク現地でのことが頭から離れない。妻も、心ここにあらずのカイルを責め、身体も心も家族とともにいて欲しいと願う。

しかし、その後も二度目、三度目とイラクへの派遣が続いていく...





*****


続きは是非映画で!


本作は世間からも批評家たちからも、とても評判の良い映画だ。

とにかくアメリカ人が大好きそうな映画だ。それは映画館でも肌で感じた。

アメリカの映画館では、観客が好きなところで笑ったり、拍手したりする。映画を観ている時でも感情を隠したり恥ずかしがったりすることはないので、感情表現が素直だ。愛国心が非常に強い国でもあるためか、本作ではたくさん拍手が起こった。日本ではなかなか考えられないことである。


私自身、断固として戦争否定派なので戦争の肯定は絶対にしないが、この映画を単品で考えた場合、アメリカの中東介入についても知ることができ、更に自伝映画としても良い映画だと思った。




一方で、他のクリント・イーストウッドの監督作品に比べてしまうと、正直うーんという感じだ。
系統は似ているし、メッセージ性は強いが、記憶に残る映画ではなかったように思う。
『Mystic River(邦題:ミスティック・リバー)』、『Million Dollar Baby(邦題:ミリオンダラー・ベイビー)』、『Gran Torino(邦題:グラン・トリノ)』のようなずっしり重くて頭と胸に焼きつけられるような強烈さはない




Japanese ver. trailer