Sunday, February 1, 2015

American Sniper (邦題:アメリカン・スナイパー/日本公開予定2015年2月21日) 



本作『American Sniper (邦題:アメリカン・スナイパー)』は実話に基づいており、Chris Kyle(クリス・カイル)という米国軍人を題材にしている。



クリスは、U.S. Navy SEALs 在籍中に敵を255人(うち米国国防総省が正式に認定しているのは160人)殺害したことから、米国軍史上、最強の射手として知られている人物だ。その功績から、米軍内では“Legend(伝説)”というあだ名が付けられている。




脚本は、そんな彼の自伝『American Sniper:The Autobiography of the Most Lethal Sniper in U.S. Military History(原題:アメリカン・スナイパー:ネイビー・シールズ最強の狙撃手)』が元となっており、奥さんであるTaya Kyle(タヤ・カイル)も本映画のプロダクションの過程に深く関わったようだ。



※本映画について、そしてクリス・カイルについて、ウィキペディアなどで事前に調べずに是非観て欲しい。そのほうが映画を楽しんでいただけると思う。


Chris Kyle(クリス・カイル)を演じたのは、世界中で最もセクシーな男性に選ばれたこともある俳優のBradley Cooper (ブラッドリー・クーパー)。役柄にフィットするため、体重も増やし、テキサス訛りを身に付けて撮影入りをした。そしてクリスの妻、Taya Kyle(タヤ・カイル)は女優のSienna Miller (シエナ・ミラー)が演じた。




本作品は、色んな意味で非常に話題性のある作品だ。
理由を大きく5つ挙げると...

1. 監督兼プロデューサーは大御所Clint Eastwood(クリント・イーストウッド)。

2. 第87回アカデミー賞にも、作品賞、主演男優賞、脚本賞など6部門でノミネートされている。ちなみに、Bradley Cooper (ブラッドリー・クーパー)は昨年の『American Hustle (邦題: アメリカン・ハッスル)』、おととしの『Silver Linings Playbook (邦題: 世界に一つだけのプレイブック)』と、3年連続でオスカーにノミネートされているので、今年受賞できるかも注目だ。

3. アメリカでの1月16日の拡大公開からわずか2週間で劇場公開規模、興行収入に驚異的な数字となっている。

4. 本作品を巡っては批評家からの高い評価が得られているものの、アメリカ国内の保守派とリベラル派で大論争が繰り広げられている。同時にクリス・カイル本人についても、様々な論争が湧き起こっている。

5. 現在進行中の戦争を題材としており、米国への中東エリアへの武力介入、そして米国軍が中東エリアでどのようなことをしているか、についてリアルに取り上げている。




では、ストーリーを掻い摘んで紹介したい。

*****

テキサス生まれのカイルは、幼少期から父親にライフル銃を使っての狩猟を教わっていたが、その後はロデオ・カーウボーイとして生活をしていた。ある時、1998年ケニアとタンザニアでアメリカ大使館が爆破されたことをニュースで見て、アメリカ海軍入りを決める。その後、過酷で厳しい訓練を経て、U.S. Navy SEALs(アメリカ海軍の特殊部隊)に見事入隊を果たす。

カイルは、将来の妻となるタヤとバーで出会い、結婚をするが、国際テロ組織アルカイダによるアメリカ同時多発テロ事件の後、すぐにイラクへ派遣される。



彼はこの派遣の際に、初めて人を殺すこととなる。アメリカ軍を爆破して殺そうとした女性と子供の2人だ。

その後も、彼は使命に従い、スナイパーとして大活躍し、撃ち殺した人の数が多数にのぼることから、レジェンドというニックネームがつくまでとなった。



その一方で、良い人間でありたい気持ちも強く持っているカイルは、人を撃ち殺すとことに苦しみを感じ、葛藤する。また、それ以上に同士たちを助けられなかった無念さに辛さを感じる。





一度目の派遣を終え、妻の元に戻り、子供も生まれたことによって、葛藤は一層強くなる。アメリカに戻ってもなかなかイラク現地でのことが頭から離れない。妻も、心ここにあらずのカイルを責め、身体も心も家族とともにいて欲しいと願う。

しかし、その後も二度目、三度目とイラクへの派遣が続いていく...





*****


続きは是非映画で!


本作は世間からも批評家たちからも、とても評判の良い映画だ。

とにかくアメリカ人が大好きそうな映画だ。それは映画館でも肌で感じた。

アメリカの映画館では、観客が好きなところで笑ったり、拍手したりする。映画を観ている時でも感情を隠したり恥ずかしがったりすることはないので、感情表現が素直だ。愛国心が非常に強い国でもあるためか、本作ではたくさん拍手が起こった。日本ではなかなか考えられないことである。


私自身、断固として戦争否定派なので戦争の肯定は絶対にしないが、この映画を単品で考えた場合、アメリカの中東介入についても知ることができ、更に自伝映画としても良い映画だと思った。




一方で、他のクリント・イーストウッドの監督作品に比べてしまうと、正直うーんという感じだ。
系統は似ているし、メッセージ性は強いが、記憶に残る映画ではなかったように思う。
『Mystic River(邦題:ミスティック・リバー)』、『Million Dollar Baby(邦題:ミリオンダラー・ベイビー)』、『Gran Torino(邦題:グラン・トリノ)』のようなずっしり重くて頭と胸に焼きつけられるような強烈さはない




Japanese ver. trailer




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