Monday, June 3, 2013

The Girl with the Dragon Tattoo (邦題:ドラゴン・タトゥーの女)


2011年にアメリカで公開され、日本でも興味をそそるタイトルで注目された映画。これはスティーグ・ラーソンの世界的ベストセラー・ミステリー3部作の1作目『The Girl with the Dragon Tattoo(邦題:ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女) 』がオリジナルとなっている。原作は2005年にスウェーデンで出版され、瞬く間に アメリカでもベストセラーになり、世界40カ国以上で翻訳、全世界で2,100万部を売り上げた有名な作品である。

私が今回取り上げているのは2009年に公開されたスウェーデン版『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』に次ぐハリウッド映画のほうのフィルムである。




奇才デヴィッド・フィンチャーが監督をつとめた本作品。彼は『Seven(邦題:セブン)』、『Fight Club(邦題:ファイト・クラブ)』の成功により、フィンチャーは一躍ヒットメイカーとして注目されるようになった。その後も『The Curious Case of Benjamin Button(邦題:ベンジャミン・バトン 数奇な人生)、『The Social Network(邦題:ソーシャル・ネットワーク)』ではアカデミー監督賞にノミネートされたれ、50歳にしてまだまだ旬の映画監督といえる。

ずらっと並ぶデヴィッド・フィンチャー作品のタイトルを一通り眺めると、ならば、本作も主役はフィンチャーと度々タッグを組んでいるブラッド・ビットか?と思うところだが、ダニエル・クレイグがジャーナリストの主人公ミカエル役を演じている。

実際に、この役はブラッド・ビットでなくてよかったと思う。ブラッドはどう頑張っても適していなく、役不足だっただろう。何故ならばやはり物語の舞台がヨーロッパであるということ。それも北欧スウェーデンという夏の数ヶ月以外は暗く重い場所であることが大きい。そういう意味では、ヨーロピアンでもあり、年齢相応に落ち着いた、そして抑揚のない話し方をするダニエル・クレイグは合っていたのかもしれない。

独特の薄暗さ、重さ、寒々しさ。スウェーデンに住んでいる著者だからこそ生まれた作品だと思う。そしてその物語の全体的な雰囲気を映画でもうまく表現しているといった点で監督/演出の力量がすごいと言わざるを得ない。実際に冬のストックホルムで撮影が行われたらしいが、甲斐あって物語自体の暗くて重い雰囲気がすごくよく出ている。原作を読んだことはないが、スクリプトにする時に情景が浮かぶほどの、そして人物像も思い描けるような、そんな素晴らしい著書であるのだと思う。

物語は、スクープ雑誌「ミレニアム」で働く記者である主人公ミカエル・ブルムクヴィストが巨大グループ企業の経営者だったヘンリック・ヴァンゲルの代理人を名乗る弁護士から、ある調査を依頼されたことからストーリーが始まる。それは、ヘンリックの姪であり、約40年前に忽然と姿を消した少女ハリエット・ヴァンゲル失踪に関する調査だった。そこへ、この仕事の依頼をするにあたってミカエル自身のバックグラウンドチェックを行ったリスベットという天才的なハッカーである調査員も協力をすることになる。
彼女は過去に、実父に対する傷害事件を起こし、精神病と危険人物とされ、自由を制限されている風変わりな女性である。この二人がこの難事件の解決に挑む…
(ここからはネタバレしてしまうため、観ていない方の為にも省略します)

映画のストーリー自体もテンポがよく、常に何かが起こっている、観ていて飽きない映画だ。見終わった時に少し疲れてしまうような。本当に最後の最後まで何かが起こっているのだ。友人と一緒に観たのだが、3人して「なんかすごかったね」っていう言葉を繰り返してしまった。

ただ、一度観て理解しきることは難しい映画である。
わたしももう一度観る予定だ。特に最初の方を改めて観なおしたい。
また、元々英語で映画を理解できる人にも、ぜひ英語の主音声に英語の字幕をつけることをおすすめする。アクセントや話し方が聞き取りにくいところが多いので、開始3分で、字幕をつけることを決めたが、これは正解だった。

この映画は『セブン』が好きな人は絶対に好きなはず。この映画を観ながら『セブン』を想像する人は多いのではないだろうか。それだけ似ている。それでもどちらも面白い。私は『セブン』もとても好きだったが、『セブン』は結構グロテスクな場面を多かったので、こちらの映画の方が観やすかった。

ルーニー・マーラの身体を張った演技にも目を見張る。とても『ソーシャル・ネットワーク』に出ているルーニー・マーラと同一人物だとは思えない。初めてルーニー・マーラを本映画のトレイラー(予告編)で知った私は、その前に観ていたソーシャル・ネットワークのエリカ役だよ、と知人に聞いた時にはすごく驚いたのを覚えている。雰囲気が全く違う。そこらへんにいる綺麗な顔の女優っぽいあのエリカ役の子が、まさかこの役ができただなんて!監督はソーシャル・ネットワークの時から分かっていたのだろうか?だとしたら、その見る目は称賛に値する!


 

前述した通り、これは3部作の第1作目。スウェーデン語の原題は直訳すると Men who hate women. 女を憎む男。第2作 The Girl Who Played with the Fire(邦題:火と戯れる女)』、第3作 The Girl Who Kicked the Hornet's Nest(邦題:眠れる女と狂卓の騎士)』 も出版されており、主人公はまたリスペットとミカエルの2人が登場するようなので、映画の続編を是非とも期待したい。

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