Thursday, May 30, 2013

Pride and Prejudice (邦題:プライドと偏見)


イギリスの2005年の映画。原作はジェーン・オースティンの小説『Pride and Prejudice(和訳:高慢と偏見)』。



主演は日本でも有名なイギリス人女優キーラ・ナイトレー。

ずっと気になっていたけど、なかなか観る機会がなく、ついこのあいだようやく観ることのできたフィルム。たくさんのキャスト&クルーカップルが誕生した作品としても有名。前評判が高く、すごく楽しみにしていたのだが、、、

正直、ここ数年の中でみたフィルムの中でも、個人的な評価がかなり低かった。なんというか、最初から最後までのめり込めず、見終わった後も余韻にも浸ることもなかった。

まず、演技力。キーラ・ナイトレーはこの作品でアカデミー賞にも主演女優賞でノミネートされているが、特に演技が素晴らしいとは思わなかった。もちろん、共演している他の若手役者よりは存在感、演技力ともに抜けているがワンパターンな演技や表情も多く、見ながらも気になってしまうくらいだった。また、彼女を取り囲むその他のキャストの演技にも度々現実世界に引き戻されてしまうことが多かった。

ダーシー役のマシュー・マクファディンも、雰囲気は役に合っていたのかもしれないが、演技に全く引き込まれない。ウィッカム役のルパート・フレンド(キーラ・ナイトレーが5年間付き合っていた元彼)はあまりにも演技が下手すぎて興ざめしてしまう程。とてもかっこいいルックスを持っているにも関わらず、花がひらいていないのは不思議ではない。

また、話の展開も、変なところでスローで、変なところで急ぎ足で、すっ飛ばされている感じが否めない。それほど見せなくていい場面を長くだらだらと見せ、エッセンスとなるような場面が足りない。この物語の一番鍵を握るともいえる、どのように2人がこれほどの愛情を互いに持ったのか、が伝わりきっていないように思える。特にダーシーがエリザベスに恋に落ちたのがあまりにも突然すぎて、ついていけなかった。これが理解できずにいたために、エンディングも含め、なかなか感情移入ができずに終わってしまった。

ただ、一つこの作品で素晴らしいと思った点をあげると、ベテラン勢の存在感と演技力の高さは見応えがあった。ベネット氏を演じるドナルド・サザーランド(息子は日本でも有名な24のジャック・バウアー役のキッファー・サザーランド)とベネット夫人を演じるブレンダ・ブレッシン。この2人は適役だった上に、見事な演技で惹き付けたと思う。ドナルド・サザーランドはそれほどセルフが多かったわけではないが、終わりにかけてのシーンでエリザベスがベネット氏に結婚の許しを乞うシーンは彼の演技がものをいっている。また、忘れてはならないのが、キャサリン夫人を演じるジュディ・デンチ。彼女は、いわゆる、パワーを持っていて厳格な高齢の女性、と似たような役が多いものの、やっぱりすごい存在感。なかなか代わりを演じられる役者はいないと思う。

個人的に、期待がものすごく裏切られた作品。この作品は原作を読んでいないので、なんとも言えないが、きっと原作の方が圧倒的に良いのだろう。となると、演出家、キャストが違っていたら、またもっと別のフォルムに仕上がっていたのではないかと思えて仕方がない。18世紀末のイギリス田舎町の雰囲気の再現は(実際にその時代にその場所にいたわけではないが)とても素敵だった。衣装、セット、景色の良さなどもさすが監督ジョー・ライト。彼の世界観が好きな人は是非『Atonement(邦題:つぐない)』や『Anna Karenina(邦題:アンナ・カレーニナ)』を観ることをお勧めする。どちらも主演はキーラ・ナイトレー。

本作品が今全米でロードショー中の『The Great Gatsby The Great Gasby(邦題:華麗なるギャツビー)』のヒロインに大抜擢されたキャリー・マリガンの映画デビュー作でもある。ベネット5姉妹の一人、キティ・ベネット役であまり目立たない役だが、登場する度に初々しさがあり、とても微笑ましい。

キーラ・ナイトレーとキャリー・マリガンはこれからもイギリス、そしてハリウッド映画界を担って行く若手実力派イギリス人女優2人であることは間違いない。

ちなみに、キーラ・ナイトレーとキャリー・マリガンの共演は『Never Let Me Go Never Let Me Go(邦題:わたしを離さないで)』でも観ることができる。この原作は、日本で生まれ、5歳の時に家族と共にイギリスに渡った作家Kazuo Ichiguro(カズオ・イシグロ)が書き下ろし、内容がとても重いだけに、様々な議論を呼び、批判もされた作品。この作品は別途じっくりと独自の記事でご紹介したい。全く救われない、ハッピーになれないあらすじではあるものの、本もしくは映画どちらかでこの作品に触れることをおすすめしたい。

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