誕生日の当日、職場に行くと、Leonardo DiCaprio(レオナルド・ディカプリオ)が「お誕生日おめでとう」と言っているポスターが私のオフィスに飾られていた。
私の職場では、毎年クリスマスパーティーの日に、各自が「好きな物リスト」を書き、それをデータで保管しているのだが、どうやら私は“好きな俳優”のところにディカプリオの名前を書いていたらしい。
その昔『Romeo + Juliet(邦題:ロミオ+ジュリエット)』や『Titanic(邦題:タイタニック)』を機に、日本でも「レオ様」ブームが巻き起こったが、私はその時ディカプリオを見てもかっこいいとも思わず、綺麗すぎるのかフェミニンな感じがしてあまり好きではなく、メディアと世間の過剰な露出が理解できずにいた。
しかし、ある映画をきっかけに彼を好きになった。
この映画は、90年代、実際にアフリカのシエラレオネ共和国を舞台に繰り広げられたダイヤモンド紛争(内戦)を題材とした、いわゆる社会派の映画である。
題名としても使われている「ブラッド・ダイヤモンド」とは、紛争の資金調達のため不法に取引されるダイヤモンドのことだ。ダイヤが市場に出るまでに、多くの人が血を流していることから、この名前が付いたと言われている。
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メンデ族の漁師、ソロモン・バンディーは、家族とともに穏やかな日々を過ごし、いつか自慢の息子を医者にすることを夢見ていた。
しかしある日、反政府軍RUF(Revolutionary United Front/革命統一戦線)が彼らの住む村を襲撃し、平和な暮らしが一変してしまう。ソロモンはRUFに捕まり、家族の元から連れ去られ、強制的にダイヤモンドの採掘場でダイヤを掘らせられる。そこで掘り出されたダイヤこそがRUFの武器調達の資金源となっているのだ。ソロモンは 巨大なピンク・ダイヤモンドの原石を見つけ、命の危険を感じながらも、厳しい監視の目を縫ってそれを隠すことに成功する。
しかしある日、反政府軍RUF(Revolutionary United Front/革命統一戦線)が彼らの住む村を襲撃し、平和な暮らしが一変してしまう。ソロモンはRUFに捕まり、家族の元から連れ去られ、強制的にダイヤモンドの採掘場でダイヤを掘らせられる。そこで掘り出されたダイヤこそがRUFの武器調達の資金源となっているのだ。ソロモンは 巨大なピンク・ダイヤモンドの原石を見つけ、命の危険を感じながらも、厳しい監視の目を縫ってそれを隠すことに成功する。
一方、ダイヤの密輸をしている白人傭兵の男、ダニー・アーチャーは密輸に失敗した時に投獄された刑務所で「巨大なピンク・ダイヤがどこかに隠されているらしい」という噂を耳にする。この話しを聞いたアーチャーは、ソロモンを巧みに利用して、 ピンク・ダイヤを手に入れ、紛争の絶えないアフリカの地を脱出しようと考える。アーチャーは自身自身が密輸を行うことでRUFが過激化し、紛争を長引かせ、多くの命が犠牲になっている事実については、お構いなしだった。
アーチャーはバーで出会った紛争ダイヤの密輸の実態を追うジャーナリストのマディーにも交換条件を提示し、説得した上で、なんとか協力を得る。彼女のジャーナリストとしての特権を活かし、ソロモンが隠したピンクダイヤを探すため、ソロモンとともに採掘場を目指す。
アーチャーはバーで出会った紛争ダイヤの密輸の実態を追うジャーナリストのマディーにも交換条件を提示し、説得した上で、なんとか協力を得る。彼女のジャーナリストとしての特権を活かし、ソロモンが隠したピンクダイヤを探すため、ソロモンとともに採掘場を目指す。
しかし、その過程でアーチャーはソロモンとマディーの双方に情が移っていく。また、RUFの非情な武力行使やチャイルドソルジャー(少年兵)などを麻薬漬けにして、ダイヤのありかを突き止めようとする組織の実態を目の当たりにし、自分の目的に対して心が揺れ動かされる。
ソロモンと共に、ピンクのダイヤを手に入れたアーチャーが次にとった行動とは…。
本作品は、First World Country/先進国で暮らす私たちに、ダイヤモンド紛争(内戦)やチャイルドソルジャー(少年兵)など、Third
World Countryの現状・現実を突きつけると同時に、ダイヤの輝きと富の象徴に惹かれ、ダイヤを欲しがる人々が存在するがゆえに、第3国で引き起こされている悲劇を描くことで、社会の闇や悪循環をも描いた作品であると言える。
世界中で今この瞬間も起こっている紛争に対して、関心を持つ素振りをしながらも、問題を直視せず、他人事のように考えている先進国の人々に対して疑問を投げかけ、気づきを与える映画でもある。
スリリングで迫力のあるストーリーの展開に加え、迫真のあるリアルな演技で最初から最後まで観る者を飽きさせない。
世界中で今この瞬間も起こっている紛争に対して、関心を持つ素振りをしながらも、問題を直視せず、他人事のように考えている先進国の人々に対して疑問を投げかけ、気づきを与える映画でもある。
スリリングで迫力のあるストーリーの展開に加え、迫真のあるリアルな演技で最初から最後まで観る者を飽きさせない。
第79回(2006年度)アカデミー賞では主演男優・助演男優・音響編集・録音・編集の5部門に、ノミネートされた。残念ながら、作品賞や監督賞にはノミネートすらされなかった。
ソロモン役はDjimon Hounsou(ジャイモン・フンスー)、ダニー・アーチャー役はLeonardo
DiCaprio(レオナルド・ディカプリオ)、そしてジャーナリストのマディー・ボーエン役は『A Beautiful Mind(邦題:ビューティフル・マインド)』のJennifer Connelly(ジェニファー・コネリー)がそれぞれ演じている。
前述したように本作以前にディカプリオをかっこいいと思ったことはなかったものの、彼の出演作は全て見ていて、もともと演技はとても上手い俳優だなーと思っていたが、2006年に公開された二本、『The
Departed(邦題:ディパーテッド)』と本作で、今まで以上に演技の幅を広げ、ワイルドさや渋さという新たな魅力も増し、どんな役所も演じられる素晴らしい役者だなーと感動し、魅了され、途端にファンになってしまった。
英語の訛りや、話し方、そしてストーリーの流れと同時進行で移り変わるアーチャーの心情も見事に表現しており、最初は自分勝手にも感じるアーチャーが次第に頼もしくもなり、人間味があるキャラクターだというのをディカプリオらしく演じきっていた。
どこか哀愁があったり、暗い過去を持っていたりする、刹那的な役柄をさせたら、同年代の俳優の中で右に出るものいないのではないだろうか。