鬼才、巨匠、ヒットメイカー、どの呼び名にもふさわしい名監督David
Fincher(デヴィッド・フィンチャー)が監督し、Reese Witherspoon(リース・ウィザースプーン)がプロデューサー、Ben Affleck(ベン・アフレック)が主演ということで、企画があがってプロダクションに入った段階から高い注目を浴びていた本作品『Gone
Girl(ゴーン・ガール)』。
さて、この作品は、何から書き始めればいいことやら。
*スリラーミステリーなので、絶対にネタバレすることのないように気を付けて書きます。
一言、二言で言うと、また映画史に残る作品がでてきた、ということと、個人的に今年観た映画の中で最も興奮したということに尽きる。圧巻だ。
10月中旬、日本からロサンゼルス空港に戻ってきたその足で観に行ったが、時差ボケで眠いにも関わらず、興奮しすぎて、翌朝から再びサンフランシスコに向かうというのに、その夜はなかなか眠りにつくことができなかった。
ストーリーの展開がひと捻りもふた捻りもあり、最後の最後まで圧巻の一言で、思わずエンドロールが流れると、言葉を失い、なんて作品が世に出たのかと思わず笑ってしまった。
David Fincher(デヴィッド・フィンチャー)監督は、観客を引き込み、熱狂され、唸らせる天才だ。
また、スタイリッシュな映像とサウンドトラックの素晴らしさはさすがデヴィッド・フィンチャー作品という印象だ。
彼の代表作には、彼が映画ファンの中で注目されるきっかけとなった『Seven(邦題:セブン)』や『Fight Club(邦題:ファイト・クラブ)』、アカデミー賞で監督賞にノミネートされた『The
Curious Case of Benjamin Button(邦題:ベンジャミン・バトン 数奇な人生)』や『The Social Network(邦題:ソーシャル・ネットワーク)』、また直近の作品では『The
Girl with the Dragon Tattoo (邦題:ドラゴン・タトゥーの女)』がある。
今までのどの作品に勝るとも劣らない、独創的な映像表現と力強いストーリーテリングが見どころである。2時間半超えの映画だが、全く長いと感じさせない。
かなり大袈裟で極端ではあるが、“夫婦”、“結婚”、“男”、“女”というものの実態を描いている。
かなり大袈裟で極端ではあるが、“夫婦”、“結婚”、“男”、“女”というものの実態を描いている。
元々、この映画はGillian Flynn(ギリアン・フリン)という40代の女性アメリカ人作家が2012年に書き下ろした大ヒット小説を原作に映画化したものである。脚本も著者のギリアン本人が手掛けている。
『Argo(邦題:アルゴ)』のBen
Affleck(ベン・アフレック)が主演、『Pride
and Prejudice (邦題:プライドと偏見)』で一家の長女を演じたRosamund
Pike(ロザムンド・パイク)、今回アカデミー賞の司会をすることになったコメディアンのNeil
Patrick Harris(ニール・パトリック・ハリス)らが共演している。これまでロザムンド・パイクの出演作は2作ほど観たが、あまりパッとすることがなく、容姿はとてつもなく美しいのに、微妙な女優さんだなーという印象だったが、本作で魅せた彼女の演技は文句の付けどころがないほど素晴らしく、確実にアカデミー賞主演女優賞にもノミネートされるだろう。
ニックの妹役マルゴを演じたCarrie Coon(キャリー・クーン)、刑事役のKim Dickens(キム・ディケンズ)、そしてエイミーの元彼役もそれぞれにとても良い味を出していた。
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物語はニックとエイミーの結婚5周年目の記念日から始まる。恋に落ち、結婚してから5年間、誰もが羨むような幸せな結婚生活を送っていた2人。
物語はニックとエイミーの結婚5周年目の記念日から始まる。恋に落ち、結婚してから5年間、誰もが羨むような幸せな結婚生活を送っていた2人。
しかし、結婚記念日にエイミーが突然姿を消したのだ。リビングには争った後があり、キッチンからは大量のエイミーの血痕が発見された。警察は他殺と失踪の両方の可能性を探り捜査をしているが、アリバイも振る舞いも不自然なニックに、次第に警察、メディア、世間の疑いの目が向けられていく。
この失踪事件によってミズーリ州の田舎町に全米の注目が集まり、暴走するメディアによってカップルの隠された素性が暴かれ、やがて、事件は思いもよらない展開を見せていく。
誰もが一目を置く完璧な妻エイミーにいったい何が起きたのか…。
そしてニックは妻の失踪に関わっているのだろうか…。
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デヴィッド・フィンチャー作品の傾向ともいえる、メディアに対する描写も非常に特徴的だ。
誘拐、失踪などの事件が起きた時の、メディアの異常なまでに加熱した報道や、メディアが犯人像や事件を形作り、世間の事件の捉え方を操作している存在であることなどを感じさせるのだ。
日本では12月12日(金)より全国公開。
観て絶対に後悔しない本作品、見終わって思わず鳥肌が立ち唸ってしまう本作品、必ず映画館で観ていただきたい。
この後味はなんとも言えない。
日本語版予告編